総合的な認知機能・ADLアセスメント「認知・生活機能質問票(DASC-8)」

認知・生活機能質問票(DASC-8) DASC-81)2)は,認知機能とADLを総合的に評価できるアセスメントシートです.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)3)を設定する際,カテゴリー分類に利用できます. DASC-8は,DASC-21(地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)4)を基に作成されました. 認知機能を評価する2項目(記憶,時間見当識),手段的ADLを評価する3項目(買い物,交通機関の利用,金銭管理),基本的ADLを評価する3項目(排泄,食事,移動)の計8項目によって構成されます. 8項目の合計点から,簡便かつ短時間で認知機能とADLを評価できます(表).表 DASC-8を用いたカテゴリー分類DASC-8得点10点以下11〜16点17点以上カテゴリー分類カテゴリーⅠカテゴリーⅡカテゴリーIII認知機能正常MCI〜軽度認知症中等度以上認知症ADL自立手段的ADL低下基本的ADL低下 ただし,DASC-8はあくまでスクリーニングツールであり,実際のカテゴリー分類には個別の評価が必要です. フレイル・サルコペニア,併存疾患,栄養,薬剤,生活状況(生活や療養の場,介護者の有無,介護サービスの利用など)などの評価を加えることで,血糖コントロール目標の設定だけでなく,個別性を重視した治療・ケアの決定にも利用できます. 引用文献日本老年医学会.DASC-8の質問票.高齢者診療におけるお役立ちツール.https://www.jpn-geriat-soc.…

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老年内科基礎シリーズ① 身体的フレイルって何? What is Physical Frailty?

身体的フレイルはdisabilityの前段階と考えることができ、障害とは基本的な日常生活動作(ADL)に支援が必要な状態と定義されます。 フレイル (frailty) は、Friedらによって、その身体的特徴、すなわち「表現型」として初めて記述されました。「表現型」と呼ばれる身体的特徴の観点から、弱さ(握力の低下)遅さ(歩行速度の低下)縮み(意図しない体重減少)疲労(自己申告)身体活動の低下の5つの要素からなります。 3つ以上該当する場合にフレイルと考えられます。体重減少は通常、これら5つの身体的特徴の最後に現れるものであり、一旦、体重が減少すると、虚弱状態や身体機能を改善したり、元に戻したりすることは非常に困難であることが指摘されています。 <参考文献>E.DENT et al. PHYSICAL FRAILTY: ICFSR INTERNATIONAL CLINICAL PRACTICE GUIDELINES FOR IDENTIFICATION AND MANAGEMENT.J Nutr Health Aging. 2019;23(9):771-787.PMID: 3164172DOI: 10.1007/s12603-019-1273-z ホームページ国立長寿医療センター老年内科HP 1国立長寿医療センター老年内科HP 2

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"・・・・の巨人"を見逃すな

Geriatric Giants(老年医学の巨人)は、バーナード・アイザックの造語で、高齢者の身体的、精神的、社会的領域に影響を与える老年期の主要な慢性障害を指す表現です。 認知症、せん妄、うつ、失禁、起立性低血圧、転倒、めまい、骨粗鬆症、ポリファーマシー、疼痛、フレイル、老衰、虐待、低栄養など を指して言うことが多いです。これらは、所謂臓器別の診療科の専門領域(疾病)とは異なり、老年内科が専門とする症状です。 誤解されることも多いですが、Geriatric Giantsは避けられないものではなく、いくつかは適切な予防策によって避けることができます。また、治療することも可能な場合があります。そして、薬物治療だけに頼らず、多角的なアプローチが求められます。 参考OBITUARY: Professor Bernard Isaacs | The Independent | The Independent ホームページ国立長寿医療センター老年内科HP 1国立長寿医療センター老年内科HP 2

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