NCGGセミナー:今井眞一郎先生の講演より ~NADによる老化の制御~

国立長寿医療研究センターでは、さまざまな分野の最先端で活躍する先生方の講演が時々開催されます。

そのおかげで、臨床・基礎を問わず興味深いお話に接する機会に恵まれます。

先日は、ワシントン大学の今井眞一郎先生によるNADNicotinamide dinucleotide)を中心とする老化制御のお話を伺うことができました。


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NADは細胞内の代謝に係る補酵素の一つですが、この物質が寿命に関連するSIRT1の働きに必須であることが示されています(SIRT1NAD依存性の脱アセチル化酵素)。

哺乳類では、NicotinamideNAMPTNicotinamide phosphoribosyltransferase)の働きでNMNNicotinamide mononucleotide)に変換されNAD+が産生されます。

この一連の流れの中で、NAMPTが律速段階を担っていることがわかっています。


今井先生のグループは、脂肪細胞から放出されるeNAMPTの量がマウスの寿命と関連することを報告されており1)、さらにNAD+の産生が視床下部におけるSIRT1の働きを活性化して骨格筋や脂肪細胞とフィードバックループを形成している可能性を示されました。

この機構の解明には、当センター統合生理学研究部の佐藤亜希子先生が貢献されています2)


老化を制御する機構に、骨格筋や脂肪が関わっていることを示す興味深いお話を聞くことができました。

思い起こしてみれば、日本人高齢者の臨床疫学データでも、BMIと死亡率の関連についてはU字型よりはL字型になっている報告があります3)

またObesity Paradoxの一部の説明として、NADに関わる機構の関連性があるかもしれません。



(参考文献)

1) Yoshida et al. CELL METAB. 30: 329-342, 2019

2) Satoh et al. CELL METAB. 18: 416-430, 2013

3) Tamakoshi et al. Obesity (Silver Spring). 18: 362-369, 2010


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